共働き世帯での夕食は「外食」や「中食」が多くなりがちだ。その出費はどれだけになるのか。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏が、外食の多い家庭と少ない家庭を比較したところ、35年間では1260万円の差がつくことがわかった。外食費を減らすには何を心がければいいのだろうか――。

料理上手&マメな妻や夫がいると食費はいくら助かるのか?

都内で働くA男さん(30歳)は、近ごろランチタイムになると憂鬱になる。3カ月前、オフィスが移転にったのだが、周囲にランチ向けの手頃な店が少ないからだ。以前は周囲に安くておいしい定食屋がたくさんあったほか、ワンコイン弁当を売るワゴン車も出てきて、昼食選びには困らなかった。

それが今のオフィスの周辺は手頃な店が少ないし、弁当屋も見当たらない。A男さんの小遣いは、昼食代込みで月3万円。1000円のランチを毎日食べていたらあっという間になくなってしまう。仕方なく、ほぼ毎日コンビニ弁当で済ませているのだが、最近さすがに飽きてきた。味付けが濃く、何を食べても同じ味にしか感じられない。

▼外食・中食「多め」vs.「少なめ」世帯の食費の差は?
写真=iStock.com/maroke

一方、職場の同期であるB男さんは毎日弁当を持参。A男さんが、チラッと弁当をのぞいたところ、彩りもよくおいしそうだ。B男さんの妻は料理が趣味で、A男さんの家庭と同じく共働きだが、週末に安い食材をまとめ買いして作り置きしたり、夕食の分を多めに作ったりしている。料理も、やりくりも、うまいようだ。

ならばウチもと、さっそくA男さんは“ランチ難民”になっている窮状を訴えながら、それとなく妻(32歳)に「弁当を持っていこうかな」と言ってみたのだが、「面倒くさい。持っていくなら自分で作ってよね」と一蹴されてしまった。

妻は料理など家事全般が得意ではないが、幸い勤務先には社員食堂があるので苦労はない。ただ、仕事の疲れもあって平日の夕食はスーパーなどで総菜を購入する「中食」が中心。週末は外食の頻度も多いそうだ。

A男さんは結婚以来、そのことを不満に思うことはなかったのだが、これから子供やマイホームがほしい。そうなればいろいろお金もかかる。できるだけ節約してお金を貯めておきたいのは妻も同じと思うのだが……。最近つくづく料理上手な妻がいるB男さんがうらやましいA男さんなのだった――。