「もしフリーランスへの転身を考えているなら、まずは“お金の準備”を始めてほしい」。Webマーケティングの専門家としてフリーランスで働く山田竜也さんは、自身の苦い経験を踏まえてそう強調します。一体いくら準備すればいいのか。独立をめぐるお金のポイントを解説します――。

※本稿は、山田竜也『フリーランスがずっと安定して稼ぎ続ける47の方法』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

最低限の生活費がないと、余裕がなくなる

フリーランスとして活動するために必要な、「お金の準備」について考えてみます。フリーランスは独立するとき、「最低限必要な1年分の生活費の1.5倍(理想は2倍)」の貯金があると、心に余裕が持てて、精神的な面での基盤となります。

山田竜也『フリーランスがずっと安定して稼ぎ続ける47の方法』(日本実業出版社)

そのために、まず「自分は、最低どれくらいの生活費がかかるんだろう?」と考えてみてください。都内で1人暮らしだったら、家賃や食費、光熱費などを合わせると、1年間で400万円前後は必要かもしれません。その場合は

400万円(最低限必要な生活費)×1.5倍=600万円(余裕の持てる生活費)

になります。ライターやイラストレーターであれば、営業コストは交通費くらいですから、1年分の生活費だけ考えればOKです。

600万円の貯金は、それなりの金額なので絶対条件ではありませんが、予想よりも苦戦したときの余裕がまったく違ってくるので、できるかぎりの貯金は準備しておきましょう。

「なんでもいいから仕事がほしい」を避ける

「なんで余裕が必要なの?」と思った人がいるかもしれませんが、特に独立したばかりは思ったように仕事が取れない可能性もあるからです。それに仕事があったとしても、価格交渉に慣れていないので、「思ったよりも売り上げが残らなかった」ということも珍しくありません。しかも、最低限の生活費がなければ、お客さまとの価格交渉で弱気になりがちです。「生活のために、何でもいいから仕事がほしい」と、激安でイヤな仕事をする毎日をすごしたくはないですよね。

また、十分な貯金がなく独立した場合も、仕事でお金が入ってくるようになったら、まず1年分の生活費の貯金を最速で貯めることです。イレギュラーなことは、必ずどこかで起きるもの。多少失敗しても、自分を見失わずに事業が行き詰まらないために、心の余裕は大事です。