バリスタ強化の原点「大洗店」の“逆風”

運営12店舗の大半の売り上げが「前年比」を上回り、過去最高を記録する店も相次ぐなか、1店だけ売上拡大に苦しむ店がある。それが本連載の2回目でも触れた「大洗店」だ。ここは施設自体が問題を抱えており、2017年に施設名を「大洗シーサイドステーション」に変え、同年11月11日にプレオープン、2018年春にグランドオープン予定だ。

大洗店のイベント限定で提供した「あんこうラテアート」。

もともとは「大洗リゾートアウトレット」という名称で、大洗町が2006年に臨海部の県有地に誘致して開業。一時は70店舗が入ったが、近年は退店するテナントが増え、2017年には大半が空きフロアとなり、町議会で存続問題が取りざたされた。そして運営会社が別の会社に所有権を売却して撤退。観光客も地元客も利用できる施設に再生を図っている。

サザコーヒー大洗店はそこそこ集客して黒字は維持するが、売り上げは対前年比8割強にとどまる。店も11月16日に「あんこうラテ復活祭」というイベントを実施し、大洗店勤務で、9月のJBC大会(ジャパンバリスタチャンピオンシップ)で最年少の6位に入賞した安優希氏らが制作する「あんこうラテアート」(限定品)や自家製スイーツも提供した。

安氏ら、同社のバリスタを育成指導するバリスタ監督の小泉準一氏(同社取締役)が初代店長を務めた大洗店にとって、実は2度目の“逆風”だ。

1度目は2011年の東日本大震災の時だ。大洗海岸に面した「リゾートアウトレットモール」は津波の直撃を受けて壊滅状態となり、大手チェーン「エクセルシオールカフェ」が再開をあきらめて撤退したほどの惨状だった。地元観光協会からの出店要請を受けた鈴木誉志男会長が、「茨城のコーヒー屋として協力しよう」と出店に踏み切った。

「サザ各店の経営が安定していたので、先の見通しが立たない中で協力した」と鈴木氏は振り返り、「経営的には無謀だった」と感じつつも、小泉氏は決意を新たにした。

「初代店長になった私は、『自分の店でバリスタを育てて大会に出れば、この大洗店がもっと有名になるかもしれない。本当にサザコーヒーに必要なのは、立派な設備や豆だけではなく、志の高いバリスタだ』と思い、意欲のあるメンバーを集めました」(小泉氏)

バリスタチームを育てる中で、専門学校の学生時代に小泉氏に見出された安氏が入社し、バリスタとしても成長。現在は22歳の若さながら店長として店を切り盛りしているのだ。