ラグビーはプロ化になじまないスポーツか

【三宅】アスリートの「プロ論」という観点で少し伺いたいのですが、日本のスポーツの多くは実業団チームとして成長してきました。これについては、企業の功績であると思っています。選手たちは給与面の心配がなくプレーに打ち込めるからです。半面で、スポーツ界も野球、サッカーはもとより、バスケットボール、バレーボール、卓球などといった分野でもプロ化が進んでおり、有力なアスリートはプロ契約を目指しています。ラグビーも最近はプロ契約選手が増えてきているとお聞きしているのですが、今後の展開とプロ化のメリットやと課題を、会長はどのようにお考えですか。

【岡村】ラグビーも最初は大学の定期戦などで人気を博し、その後、企業スポーツとしてトップリーグが花開こうとしている状態です。さらなる普及ということを考えれば、企業の経済力や組織力を使って、その地域での代表的チームとして愛されることも有意義なことです。また、企業側からすれば、社員を含めたステークホルダーの求心力を高める役割も持っていたはずです。

『対談(2)!日本人が英語を学ぶ理由』(三宅義和著・プレジデント社刊)

ラグビーの持つチームプレーの素晴らしさや社会性などを考えると、もっとたくさんの人たちにプレーしてもらいたいし、見てもらいたい。その気持ちはあり余るほど持っているわけですが、残念ながらまだそこまではいっていない、というのが現実ではないでしょうか。

今後、ラグビーがよりメジャーになっていくには、やはりプロ野球やJリーグのように産業化をしなければ難しいでしょう。たくさんのスタジアムを持ち、そこにいくつもの商業施設が入り込んで、試合数も増やすという仕組みを作らなければなりません。

【三宅】ラグビーの場合、1試合での消耗が激しくて、プロ野球の3連戦のように、週に複数試合を行うわけにはいきません。

【岡村】基本的には1週間に1度です。しかも、選手のウェルフェアを配慮し、休む期間も決められています。

ただ、海外ではプロリーグも盛んです。人気があるのはイギリスやフランス、オーストラリア、ニュージーランドなど。なかには年俸1億円超のスター選手もいます。

【三宅】ラグビーの国際化という意味でも、ワールドカップに寄せる期待は大きいですね。日本代表チームと日本ラグビーフットボール協会の目標は何でしょうか。

【岡村】日本代表チームの目標は、2015年ロンドン大会以上の成績、つまり決勝トーナメントへの進出です。日本代表のジェイミー・ジョセフHCは8強に進むため、セットプレー(スクラム、ラインアウト)の強化は勿論、リーダーズミーティングによる選手の育成も指導しています。そのため代表チームは、強化合宿や欧州遠征など強豪国とのテストマッチも積極的に行っています。さらに地元の日本で開催されるワールドカップでは、これまでに経験したことのない大きな声援を受けることができます。日本代表は大活躍してくれると思います。

協会の目標は大会を成功に導くことです。組織委員会や関連自治体、地元経済界、さらに住民が力を合わせ、それぞれの地域での試合を成功に導くことができるか、ここが一番のポイントです。しっかり準備をしていきたいと思います。

【三宅】成功を祈っています。本日はありがとうございました。

岡村正(おかむら・ただし)
公益財団法人日本ラグビーフットボール協会会長、東芝名誉顧問
1938年、東京都生まれ。東京大学法学部卒。大学ではラグビー部に所属。62年東京芝浦電気(現:東芝)に入社。73年にウィスコンシン大学経営学修士課程を修了。94年取締役、96年常務を経て、2000年6月に東芝社長に就任。05年会長となり、日本経済団体連合会(日本経団連)副会長に就任。07年日本商工会議所の第18代会頭を務める。 2015年春の叙勲で旭日大綬章受章。
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