1日のノルマを計画的に進めるだけなら簡単なようだが、意外とつまずくことが多い。ノルマはあくまでも計画であり、現実がそのとおりに推移するとは限らないからだ。
横田雅俊さんは「計画的に進める能力とは“リカバリー”の能力だと思います」と断言して、こう続ける。
「計画を立てるだけなら誰でも訓練すればできますが、私の場合、計画どおりにいったためしはほとんどありません。つまり、うまくいかないことのほうが多い中で、それをどうリカバーしていくかが計画の実行力ということになります」
したがって、計画づくりのポイントは、不測の事態にそなえて「予備の時間を設けておくこと」である。
「私自身は、その日の計画を前日の夜に立てて、朝に確認しますが、さらに昼休みの時間に2~3分ですが、スケジュールどおりにいっているかどうかをチェックし、うまくいかないところがあったらその要因を考えて、それが自分で改善できることであれば、その場、その場で改善していくようにしています」
計画の達成状況を確認するために横田さんが使っているのが、手製のチェックリストだ。紙のうえに、その日やるべきことを書き出しておき、終わったらその個所をペンで消していく。
「仕事の進捗状況を目に見える形で確認できるようにしておくと、気持ちのうえでのモチベーションを保つことができるんですよ」
枝廣淳子さんの場合も横田さんと同様、「やるべきことと、自分の持ち時間との折り合いをつけることが大事」という考え方だ。
枝廣さんは、朝起きてすぐにパソコンを立ち上げ、エクセルを使って「やらなければならないこと」のリストを書き出す。そして、それぞれの仕事にかかる時間を見積もり、加算していく。
このようにして見積もりを出した“必要時間”を、今度は1日の持ち時間と比較する。このとき実質的な持ち時間は「名目上の就業時間の70%」というのが、枝廣さんの持論だ。必要時間がこの実質的な持ち時間を超過したら、「やらなければならないこと」リストを調整しなければならない。
枝廣さんは、この調整を朝一番に行い、午後にもう一度見直すという。