仕事の計画を乱す割り込み仕事の最たるものが、上司からの急ぎ仕事である。

「急な仕事にならないように、あらかじめいっておいてほしいというのが部下の本音ですよね」と堀義人さんは指摘する。

しかし、上司からの命令である以上、いずれにしろ、やるしかない。ここで、どう仕事をさばくかは「急ぎのレベルによる」というのは横田雅俊さんだ。

「私がもし上司から急ぎ仕事をやってくれといわれたとしたら、何月何日の何時までにやればいいのかと目的を聞きますね。目的を聞くのは、たとえば社外に出すものの場合は完璧な質でないとなりませんが、社内向けであればそこまでの質は求められないからです」

質問した後の対処法もポイントだ。

「『じゃあ、急いでやります』といって、自分のペースで仕事をします。よく上司の中には『俺の仕事を優先しろ』という人がいますけれど、そういう上司のエゴに巻き込まれず、自分のペースで仕事を進めるためにも、最初に時間と目的を聞いておくことが必要なんです」

それだけではない。横田さんはこんな裏技も披露する。

「いったん引き受けたからといって、すべてを自己完結させる必要はありません。まわりの人にうまくお願いして、『しょうがないなあ』とやってもらえる環境を、日頃から自分でつくっておくことも大事なことです。何がなんでも自分でやらなくてはならない仕事もありますから、そういうときのためにも、人に助けてもらえるような選択肢を持っていることが必要なんです」

箱田忠昭さんも、部下の立場に立ってこうアドバイスする。

「もしそのとき大事な仕事を抱えていたら、急ぎ仕事をすぐには引き受けないで『実は大事な仕事を抱えています』といって、上司に仕事の優先順位を明確にさせることです。そうする勇気がないと、全部引き受けた結果、どの仕事も中途半端になってしまいますから」

(談=川本 裕子、箱田忠昭、枝廣淳子、丸山 学、横田 雅俊、堀 義人)