風呂から上がると食事です。朝は「フルグラ」とバナナと決めています。自社製品だからではなく、本当においしいからです。食べ方は、赤いパッケージの「フルグラ」をベースに、茶色いパッケージの「メープル味」を3対1の割合でトッピングする。こうすると香りがいい。それを牛乳に浸して食べるのが僕のスタンダードです。赤のフルグラに緑の「トロピカルミックス味」を2対1の割合にして食べることもあります。

「身銭を切ってでも食べたい」と思ってもらえるかどうか

10時になると、散歩に出かけます。まず近所の公園の外周に沿って4周します。1周700~800メートルですから、3キロちょっとです。それから街のほうに足を向け、スーパー4軒とコンビニ6軒を回って定点観測します。毎週ルートは同じです。店に入って「なるほど、最近はこんなものが出ているのか」と見て回ります。

そして面白いものを見つけたら、迷わず買います。だから出かけるときにはポケットに1000円札を何枚か入れておきます。私は、気になる商品は自社も含めて全部自腹で買い、家に持ち帰って食べてみます。パッケージを見て、味を確かめながら、その商品が今後も継続的に売れていくかどうかを予測するのです。そして次の日曜に、お店に確かめに行く。「売れ続ける」と予測したものが翌週・翌月も置いてあれば正解。

逆に予測が外れたときは何が原因かと考えます。そうやって自分の勘を養っているわけです。自社と他社がどんな商品を出しているか、どんな商品が今後も売れ続けるか――。そういった現場感覚を磨いておくことがとても大事なんです。

マーケットリサーチなどといって、会社の経費で買ってきた商品を会議室で食べたりしますが、売れるかどうかなんてわかりませんよ。今やどのメーカーの商品もおいしい。それなのに売れるものと売れないものが出てくるのはなぜか。それは結局のところ「身銭を切ってでも食べたい」と人に思ってもらえるかどうかが分かれ目になっているからです。自腹で買ってきて食べてみて、「また買いたいと思うかどうか」を自分で判断することでしかわからないんです。

この定点観測は、私にとっては趣味みたいなものです。でもこれが私の仕事を支える要素になっています。成果を出すために仕事と余暇の境目がなくなっているというのは、こういうことなんです。