一流の経営者は、仕事以外の時間をどう過ごしているのか。雑誌「プレジデント」(2017年5月15日号)の特集「一流の人の1週間」から、経営者3人の「オフの過ごし方」をご紹介します。第1回はダイキン工業の井上礼之会長です――。(全3回)

旅行や音楽会で人と関わり感性を磨く

ビジネスで大きな決断を迫られるとき、情報やそれに基づいた分析力や論理力も必要ですが、最後は「動物的な勘」で決断してきたことが多いように思います。

ダイキン工業 取締役会長 兼 グローバルグループ代表執行役員●井上礼之氏

2000年代前半、ヨーロッパが記録的な猛暑に襲われ、暖房中心の市場で一気に冷房が普及する可能性がありました。私は現地に入り込んで販売計画の練り直しを指示し、業務用ではなく、家庭用のルームエアコンの生産を他社に先んじて一気に拡大しました。もちろん情報収集や分析はそれなりにしていましたが、戦略の方向性がおおよそ定まったところで一気に決断を下しました。現地に飛び、現場を見たとき、私の目にはそのときこそが「欧州エアコン市場の夜明け」とうつったのです。この動物的な勘によるタイムリーな決断が、その後に当社の欧州事業が急成長する基盤となりました。