ハローデイは九州北部に地盤を置く食品スーパーだ。同社は業績好調だが、加治敬通社長は売り上げや規模の拡大より、従業員にとって「楽しく働ける会社」になることをめざしている。
同社サービスセンター(本部)では週に3回午前9時から朝礼を行い、41ある店舗では始業前に随時実施している。朝礼は10分程度のもので業務連絡が主だが、最後に同社独特の「笑いの練習」と「握手セレモニー」がある。
「笑いの練習」は参加者全員が大声で「わーはっは」と笑うだけのものだが、何年もやっているうちに笑顔が自然なものになり、表情がおだやかになってくる。客商売であるスーパーの従業員にとって笑顔は大切な武器だ。
「握手セレモニー」は全員が輪になって、端から順番に「今日も一日頑張りましょう」と言いながら握手をすること。単純だが、手を握りながら朝の挨拶を交わすうちに従業員同士の心理的距離感は近づいていくだろう。
加治敬通社長は朝礼の意義について、次のように語る。
「サービスセンター(本部)の人は店舗で働く従業員のために役に立たなくてはなりません。店舗にいるみんなを明るく、元気に、感動させることがサービスセンターの役目です。『笑いの練習』や『握手セレモニー』をやるのも、センターの人のサービス精神を養いたいから。働いている人が笑顔になり、親切になることが、お客さまの喜びにつながるのではないでしょうか」
ハローデイの店頭をのぞくと、天井には鯨のフィギュアが泳いでいたり、売り場におもちゃが飾ってあったりと楽しい工夫がしてある。そして、従業員はその場で買った魚なら、たとえイワシ1匹でもニコニコしながらさばいてくれる。彼らの笑顔が板についているのは、やはり朝礼の「笑いの練習」が効果を発揮しているからだろう。
(松隈直樹=撮影)