暇つぶしに時間を使うべからず

夫は会社帰りにパチンコに行ったり、休日は庭いじりが定番だというが、これは時間の浪費にすぎず、今すぐ改めていただきたい。その時間で語学を習得したり、趣味を深めたりすれば、リタイア後の仕事に繋がる期待も持てるが、漫然と時間を過ごしていてはなんの成果もない。実は私には競馬やパチンコに時間やお金をつぎ込んだ時期があり、その経験から進言しているのである。時間つぶしは人生つぶし、なのだ。

専業主婦の妻は昔から多くのお稽古事に勤しんできたそうだが、そろそろ「習う」から「教える」に転換したいところ。若い主婦、子どもたちなど、地元の人を相手に自宅で教えてお小遣いを稼ぐという感覚なら、費用もかからず、リスクもなく、ハードルが低い。定年もないから、夫が会社を辞めた後にも有力な収入源になる可能性がある。

リタイアするまでにできるだけ老後資金を準備したいが、現在の貯蓄は800万円で心もとない。経験から言うと、資産が1000万円に届くと、不思議と「この大台は死守したい」という気持ちが芽生える。同時に、もっと増やしたいという欲も出る。まずは早急に1000万円に届くよう、貯蓄ペースを上げよう。

成宮家では来年3月に第2子が大学を卒業し、教育費は終了する。その後、解放感から車を買い替えたり、財布のひもを緩めたりしがちだが、大きな間違いである。教育費の負担がなくなったら、その分はすべて老後の準備にシフトチェンジしよう。

資産形成に回してもいいし、住宅ローンを繰り上げ返済するのもいい。返済した分の利息がカットされるし、完済時期が早くなる。定年以後もローンの返済が残る人が多いが、返済があると老後の家計が苦しくなる。

また、毎月の保険料が2万7000円に上るが、子どもが働くようになれば扶養する必要はないので、死亡保障の必要性は低くなる。保障というより、将来の相続に備えて保険を見直すのもいいだろう。【法定相続人の人数×死亡保険金500万円】は、非課税で相続できる。

夫は小遣いから「自分へのご褒美」として買い物をする習慣があるようだが、私にはどうしても「自分へのご褒美」というのが理解できない。仕事を頑張ったことへの評価は他人からしてもらうものであり、自分で自分に褒美を与えているようでは成長できないのではないか。そのようなことにお金を使うなら、収入に繋がるような自己投資をしたほうがいい。50代をどう過ごすかが、老後を大きく左右する。

富豪の掟●中年になったら「楽しみながら働く」考えに切り替える

(構成=高橋晴美)
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