朝日だけが「半本」で扱いが小さい

5紙が大きな1本で社説を展開しているのに対し、全国紙では朝日だけが、社説の扱いは「半本」と小さくしている。冒頭部分では、朝日らしくこう主張している。

「会談後の共同記者会見で首相は、日米が『北朝鮮への圧力を最大限まで高めていくことで完全に一致した』と強調した。だが圧力は対話のための手段であり、そこに導く粘り強い外交努力が日米双方に求められる」

朝日社説は北朝鮮問題について、首尾一貫して「対話」を求めてきた。これは沙鴎一歩の考えと共通する。「目には目を」「歯には歯を」では激突を招くだけだ。今後も朝日社説は「対話」重視を貫いてほしい。

問題はどうやって北朝鮮を対話のテーブルにつかせ、どう説得して核・ミサイル開発を止めさせるかだ。朝日の論説委員たちは社外の専門家を交え、そこを真剣に議論すべきだ。そして「圧力」ばかりを重視するトランプ氏や安倍首相の姿勢をただし、読者が身を乗り出すような論説を展開してほしい。

軍事兵器の購入を露骨に迫る

朝日社説は最後にこう書く。

「共同会見で驚いたのは、対日貿易赤字を問題視するトランプ氏が『非常に重要なのは、日本が膨大な兵器を追加で買うことだ。多くの雇用が私たちのために生まれ、日本はもっと安全になる』と露骨に迫ったことだ」
「喫緊の安全保障と通商問題を絡めるのは不穏当だ。必要性を判断するのは日本自身である。日米の結束をアジアに広げていきたいなら、米国の真意を疑わせる発言は慎むべきだ」

「日本にもっと買え」とアメリカの軍事兵器の購入を迫るこの発言には、沙鴎一歩も驚かされた。それとともについに馬脚をあらわしたなと思った。これがトランプ氏の本音なのである。繰り返すが、決してだまされてはならない。

本当は日本が不利な日米貿易

日米首脳会談について、朝日以外は大部分を前向きな評価に割いている。ただし、批判的な論評もある。

読売社説は「トランプ氏は、米国の対日貿易について『慢性的な不均衡を是正し、貿易赤字を減らさねばならない』と語った」と書き、「懸念されるのは、トランプ氏が自由貿易による機会の公平さではなく、貿易収支という結果の均衡を重視していることだ」と訴える。

そのうえでこう指摘する。

「米国の対日貿易赤字は自動車関連が7割を占める。一方で、米国車の日本への輸入は無関税だが、米国は日本車に2.5%などの関税を課している。むしろ日本車が不利な条件に置かれている」

具体的で、説得力がある。トランプ氏が理不尽な要求を押しつけようとしている実態がわかる。