「ハンドメイド」の市場が急速に拡大しつつある。洋服やアクセサリー、家具など手作りの商品をスマホアプリで売買するもので、市場規模は約200億円。なかには月間の売り上げが500万円を超える“人気作家”もいるという。どんな人が稼いでいるのか。当事者たちに話を聞いた――。

アプリの普及で「趣味」から「稼げる」へ

「ハンドメイド」市場が盛り上がっている。「ハンドメイド」とは和裁、洋裁から編み物やビーズ細工、家具製作やお菓子作りにいたるまで、手作りをする趣味およびその作品を指す。この趣味に親しむ人の大半が女性であるため、男性にはなじみが薄いかもしれない。実は、年々市場規模が拡大の一途を辿っているのだ。「日本ホビー白書2016年版」によれば、ハンドメイドの中でも代表的な「和洋裁」、アクセサリー製作含む「工芸」、「手芸」「DIY(日曜大工)」をあわせた15年の市場規模は、4175億円にものぼる。

筆者にとってハンドメイドといえば、「既製品ではない自分らしさ」「手作りで安心」など、「ほっこり」「ていねいな暮らし」といったイメージだった。だが市場の盛り上がりにより、明確に「売れる」「稼げる」という状態になりつつある。

なぜ市場が急拡大しているのか。背景にはスマホアプリの普及がある。スマホアプリを使って、個人間取引(CtoC)が容易になり、ハンドメイド商品の扱いが爆発的に増えた。

前出の「ホビー白書2016」によれば、ECサイトにおけるハンドメイド商品の流通金額は右肩上がりに増えており、14年には35億円だったものが、15年は72億円、16年は192億円(見込み)と「倍々ゲーム」の様相を呈している。

書店には「売り方指南本」が並ぶ

書店の手芸コーナーでも、ハンドメイドの解説本だけでなく、『売れっ子ハンドメイド作家になる本』(たかはしあや/ソシム刊)、『売れるハンドメイド作家の教科書』(中尾亜由美/二見書房)、『高くても売れる! ハンドメイド作家 ブランド作りの教科書』(マツドアケミ/同文館出版)といったタイトルの書籍が並んでいる。

人気シリーズになっている『売れっ子ハンドメイド作家になる本』(著たかはしあや/ソシム刊)

ハンドメイドを専門にしたECサイトの起源は、2005年にニューヨーク・ブルックリンでスタートした「エッツィー(Etsy)」 (https://www.etsy.com/jp/)にある。14年に売上高1億9560万ドルに到達し、15年にはNASDAQ上場を果たした。

一方、日本では、2010年に赤丸ホールディングス(現クリーマ)が「クリーマ(Creema)」をスタート。翌年に博報堂子会社のiichi(現Pinkoi Japan)が「イイチ(iichi)を始め、12年にはGMOペパボが「ミンネ(minne)」を開始している。