さかなクン

ハコフグの帽子と「ギョギョ!」の口癖でおなじみの「お魚らいふ・コーディネーター」。魚の生態について驚異的な知識をもち、中学3年のときカブトガニの人工孵化に成功。高校時代から「TVチャンピオン」の全国魚通選手権に出場し始め、5連覇の活躍。番組の中で「さかなクン」と呼ばれるように。その後、魚専門のライター、イラストレーターなどとして活動。2006年から東京海洋大学客員准教授も務める。昨年は絶滅したと思われていたクニマスの再発見に貢献した。


 

昨年、絶滅していたと思われていたクニマスに出会えたときは、ギョギョッとしました。多くの皆さまから「すごかったね」とおっしゃっていただきまして、さらに天皇陛下が記者会見で「クニマス発見に東京海洋大学客員准教授さかなクンはじめ多くの人がかかわり……」とおっしゃられたときには感慨無量で、まさに身にあまる幸せと感動いたしました!

さかなクンはいま千葉の館山で暮らしています。朝は4時頃、漁師さんの船に乗せていただいて、定置網漁業。家の水槽には海で出会ったお魚たちがたくさんいて、一匹一匹かわいくて、話しかけたり、絵を描いたり、ときどき綿棒で体を掃除してあげたりもします。エビスダイとかテングダイは体を震わせたり、口をアーンと開けたり、エラを広げたりして、大喜びするんですよ。

大学の講義にも、漁で獲れたお魚を持っていって、学生の皆さんに見ていただいています。授業が終わった後は「お気に入りのお魚を持って帰っていいですよ~」と、ぜんぶお渡しするんです。すると、次の授業のときに、「さかなクン、この間、ウツボを鍋にして食べました!」とか、皆さん、すごく目をキラキラさせて語ってくれます。

姿を見て、香りをかいで、鳴き声を聞いて、触って、食べて、お魚からは五感(ギョかん)すべてを使っていろんなことを学ばせていただけます。

だから、お魚を食べるときは、心からおいしく味わうことがいちばんだと思って、ありがたいと感謝しながらいただきます。それから、なるべく地産地消、その土地の旬のものをいただくようにしています。

館山でいうと、春はマダイやチダイ、クロダイ、ヤリイカ。梅雨の頃には、イサキがおいしくなります。夏はマアジ、スズキ、タチウオ、マゴチ……。秋はもう断然ヒラソウダ(ソウダガツオ)。とくに獲れたてのヒラソウダはすっごい脂がのっています。「うわっ、ほっぺが落ちる、とろける~」というくらいおいしいですよ。冬は肝が大きくなるカワハギ、ウマヅラハギが最高です。

普段はお魚が多いんですが、今回ご紹介いたします「桜月」さんでときどきいただくハムやハーブ牛は、ものすごく濃厚で大好きです。ミートソースのフジッリもネコザメの卵みたいな形がかわいくて、食感も最高でギョざいます。

「元」さんは、ものすっギョくお魚料理がおいしくて、漁で獲れたお魚を持ち込んで料理していただくこともギョざいます。お刺し身や塩焼きだけでなく、アンコウの肝をフォアグラ風にステーキにして作ってくださったり、「これはうまいよ! さかなクン」「うわっ、ギョギョうまですね、元さん!」とか言いながら楽しくいただいています(笑)。