「家事は女がやるもの」という考えが根強いインド。しかし、ある洗剤のキャンペーンをきっかけに、150万人の男性が「洗濯します」とSNSで“宣言”する事態になったという。“社会を動かす”仕掛けを、戦略PRのスペシャリストが解説する。
P&Gの洗濯洗剤「アリエール」のキャンペーン「Share The Load(シェア・ザ・ロード)」

人を動かすのが難しい時代になったと言われて久しい。もとより、世の中は複雑なもので、さまざまな力学や利害関係、「大人の事情」が影響し合う。爆発的に増えた情報量と消費行動の多様化が、複雑さに拍車をかける。良かれと思って発信されたであろうメッセージがすさまじいバッシングに遭うかと思えば、想像もつかないものが大流行する。今一つ理解できないと怪訝に思ったことが、誰しも一度や二度はあるのではないだろうか。

企業がその目的を遂げるために、人や社会を動かそうとする試み――マーケティングや企業コミュニケーションは確かに、難しくなっている。だが、悪いことばかりではない。ソーシャルメディアとスマホの普及により、われわれの情報消費リテラシーは飛躍的に向上した。これまで以上に世の中のしくみや社会の関心を戦略的に活用できる土壌が生まれた。では、どのように話題をつくり、世の中を動かすのか。そこにはある一定の法則がある。

アリエール・インドの第1弾キャンペーン動画「#IsLaundryOnlyAWomansJob? #ShareTheLoad」(洗濯は女性だけの仕事?)
アリエール・インドの第2弾キャンペーン動画「Why is Laundry only a mother’s job? Dads #ShareTheLoad」(お父さん、なぜ洗濯は母親だけの仕事なの?)