デメリットをまねくカロリー制限ダイエット
カロリー神話はなぜ崩壊したのでしょうか。
実は「カロリー制限」自体には、もちろん減量効果があります。これは栄養学の価値観が変化した現在でも、間違いのない事実です。
ただし、ダイエットや病気の治療食として考えた場合、カロリー制限には「健康的に続ける」という点で、効果以上の多くのデメリットがあるのです。
カロリー制限のデメリットは、
(1)体脂肪よりも筋肉を削ってしまう。
(2)低栄養になりやすい。
(3)継続できずリバウドをまねく。の3点です。
カロリーを制限した食事を続けると、食事から得るエネルギーが減るため、体は自分を守るために、なるべく消費するエネルギーを節約するようになります。いわゆる燃えにくい体質になるのです。
ですから摂取カロリーを減らすと、体内での燃焼効率が悪くなるので、結果的にカロリー制限の効果はあまり見込めないのです。そして、体でもっともエネルギーを消費するのは筋肉ですから、エネルギー消費を節約するために、真っ先に筋肉の量を減らそうとします。
つまり、カロリー制限をすると確かにお腹まわりは細くなりますが、同時に筋肉も落ちて、薄っぺらい体形になりがちなのです。
やせたように見えても、実は不健康でカッコよくない。それがカロリー制限によるダイエットといえるでしょう。
カロリー制限を長く続けるのは困難
次にキャレリーというアメリカの団体が2015年に行った介入研究をご紹介しましょう。
この研究はカロリー制限には寿命の延長効果があるという予測のもと、自由に食事を摂るグループと、カロリー摂取を75%に制限した2つのグループを2年間にわたって比較したものです。
ところが、この研究では75%の制限が厳しくて続けられない人が続出し、現実的にはグループの平均値をみると、研究開始から半年間はカロリー制限を80%に、さらに半年後以降は90%にしか制限できていませんでした。
この時点でいえることは、研究に参加したカロリー制限をしたいと強く望んでいた人たちでさえも、大半の人はカロリー制限を長く続けるのは困難だった、ということです。