昨年12月、京王プラザホテル(東京都新宿区)は、本館高層階を全面改装し、高級フロア「プレミアグラン」を設けた。対象は全1437室のうち111室。料金は1室4万5000円から。約25億円を投資し、国内外の富裕層を狙う。インバウンドは頭打ちだが、死角はないのか。京王プラザホテルの山本護社長に聞いた――。

インバウンドは団体から個人へ

――訪日外国人数は昨年2400万人を超え、いまも増え続けているが、一人当たりのインバウンド消費額は頭打ちになった。
京王プラザホテル・山本護社長

【山本】流通系の消費に影響が出ているのかもしれないが、京王プラザホテルの宿泊に関ては大きな変化はない。外国人比率は前から高いほうだったが、ここ数年さらにアップし、2016年度は過去最高の77.7%になった。観光で訪れる外国人に最も人気のある街・新宿に立地していることも、有利に働いているのだろう。

内訳は客室数ベースで、欧米が4割、アジアが6割くらいだ。アジアでは中国が横ばい傾向、一方マレーシアやタイなどが伸びている。インドネシア、ベトナムなども含め、東南アジアの潜在需要はかなりある、とみている。

――外国人訪日客の旅のスタイルに変化はあるか?

【山本】中国本土からのお客様に顕著な傾向だが、団体から個人にシフトしている。個人のお客様はリピーターが多いと思われるが、旅慣れていて、定番以外の楽しみ方が目立つ。たとえば、おいしいラーメン店にいきたいという要望だ。コンシェルジュは、ラーメンマップを複数用意してご案内している。

――客室が多い大型ホテルとして、個人重要にどう対応するのか?

【山本】個人のお客様は、客室の料金とSNS上の評価、口コミをもとに決める傾向にある。客室の料金をどう設定するかが、一つの課題。もう一つが、SNSでいかに注目され、好評価を得るか、ということ。そのために、SNS上で影響力を持つ海外のインフルエンサーに体験宿泊を働きかけたり、現地メディアからの取材に積極的に対応している。SNSで拡散してもらうには、お客様が撮影したくなる「絵づくり」をすることも大事だ。日本文化をテーマにしたイベントを毎月開催、茶道体験プログラムなど複数の仕掛けも用意している。