審査の結果、漫才コンビ3組が入賞。このうち吉本興業福岡支社の野中雅弘支社長から直接スカウトされる最優秀賞に選ばれたのは「晩白柚(ばんぺいゆ)」。現役の九州大法学部生、佐々木玄(はじめ)さん(20)と諸石恭志(たかし)さん(20)のコンビだ。2人の喜びの声は「まずはM-1で優勝し、漫才で食べていきたい」。
長崎から同級生とバスで駆け付け、一部始終を見守った女子高生(16)は「人を笑わせ、元気にするのは素晴らしい仕事。私も頑張って勉強し、将来は芸能マネージャーを目指したい」と語った。
最近のお笑いブームを支えたテレビのネタ見せ番組も放送が終わり、一部にはお笑い人気の陰りを指摘する声もある。しかし、中島さんはひるまない。その理由として、若手芸人や、芸人志願者たちの「芸人としての職業意識の高さ」を挙げる。
それについて、九州経済調査協会の清水隆哉研究員は、こう分析する。
「吉本興業が大手企業であるとはいえ、芸人は『個』の力量が問われる職業。ここ数年の就職戦線は学生が優位の売り手市場が続き、大手企業志向が強まる傾向にあるが、そうした中で芸人を志す人たちの職業観は、ベンチャーなど起業家に通じるものがあるのではないか」
よくライブに訪れるという西南学院大商学部の平木真朗准教授(52)も「お笑いの神髄は話芸を磨く点。3分間のネタでも1分1秒の無駄がなく、間も計算している。ビジネストークの視点で見ても面白い。彼らは高いプレゼン能力を持つ優秀な営業マンになれる」と話す。
とは言え、芸の世界で厳しい競争を勝ち抜くのは並大抵ではないだろう。「笑いは、人と人のコミュニケーションを支えるツール。どんなに時代が変わっても、必要性が薄れることはない」という中島さん。「売れるにはどうすればいいか」と尋ねると、即座にこんな答えが返ってきた。
「辞めずに続けること。これに尽きる」
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