2つ目の例文のように、

Please take off your shoes.(靴を脱いで)

と言うとこれも不躾(ぶしつけ)に聞こえてしまいます。以下のような言い方が丁寧な表現です。

I would appreciate it if you would take off your shoes.(靴を脱いでいただけるとありがたいです)
Would you mind taking off your shoes?(靴を脱いでいただけませんか?)

I would appreciate it if you …(……していただけるとありがたいです)は丁寧に頼みたいときに非常に便利な表現です。It would be appreciated if … はそれを受動態にした表現で意味は同じです。appreciateを用いた表現はよく使われるので、第4章でもまた説明します。

英語は日本語よりもストレートな言語である、という誤解

▼a 「できない」「したくない」ことを伝えたい場合

ビジネスの世界でも、ジャーナリズムの世界でも、相手に何かを依頼して断られてしまう状況には数多く遭遇します。しかし、ネイティヴは断るときに、 3つ目の例文のように、

We cannot do it now.(今それはできない)

や、

I do not want to do it now.(今それをしたくない)

というようなストレートな言い方をめったにしません。普通は、

I would rather not do it now, maybe later.(今それをするのはやめておきます。あとでやるかもしれません)
Iʼm sorry but it is not possible given my schedule.(申し訳ありませんが、私のスケジュールからすると可能ではありません)

というように丁寧な表現で断ります。

繰り返しになりますが、日本では「英語はストレートな言語である」と思い込んでいる人が多いようです。

しかし、必ずしもそうではありません。社会的地位が高い人や能力のある人ほど間接的で婉曲的な表現を使います。丁寧に断るには状況に応じて次のような表現があります。

Iʼm afraid that we cannot accept your offer at this time.(恐縮ですが、今のところあなたの提案を受け入れることはできません)
Unfortunately, it would be too difficult to make it happen.(残念ながら、それを実施するのは難しすぎます)
We donʼt think that itʼs feasible.(それが実現可能だとは思えません)
It doesnʼt seem possible to do with our current resources.(現在のリソース[経営資源]では、それは無理のようです)
It requires more expertise than we possess.(我々がもっている以上の専門知識が必要とされます)
We need to take a pass on this one.(今回は遠慮させてください)
Thatʼs a tall order, more than we can handle.(それは我々ができる範囲を超えた難しい注文です)
Thatʼs going to be a tough sell in my organization. Iʼm sorry, but I just donʼt think itʼs possible.(私の組織にそれを売り込むのは難しいでしょう。申し訳ありませんが、可能ではないと思います)