夏休みの宿題といえば「自由研究」。テーマがみつからず、市販の「ネタ本」に頼ってしまう親子も多いようだ。しかし塾講師の筆者は「結論ありきの『ネタ本』に頼ると、子どもの学力は伸びない」と注意する。さらに「難関校を目指す『できる子』は、遠くに出かけなくても、近場でテーマをみつけてくる」という。親はどこに子どもを連れ出せばいいのか。2つの具体例を紹介する――。
夏休みの「自由研究」の出来不出来は「家族の偏差値」か
「早く9月になればいいのに……」
わたしの母は夏休みによくこうつぶやいていた。夏休みに暇を持て余してゴロゴロしている子(わたし)を見かねて、1日も早く学校が始まってほしいという皮肉をこめていたのだろう。
一方、「そんなに早く9月が来ては困る! だって、子どもの宿題がなかなか片付かないのだから」と悲鳴を上げたい親もいるのではないか。夏休みに課される宿題の中でも、子どもがもっとも苦しむのは「自由研究」だろう。いつまでたっても手をつけない子どもに親のほうがやきもきしてしまう。
「家計が厳しい」「休暇の予定があわない」……。もろもろの事情で子どもを旅行へ連れていけず、自由研究のネタを提供してやることもできないと焦っているご家庭も多いかもしれない。
自由研究対策の「ネタ本」は懇切丁寧だからダメ
ご安心あれ。
近場に目を向けると自由研究のネタは案外ゴロゴロ転がっているものだ。書店にはこの時期、学校の自由研究対策の「ネタ本」がずらりと平積みされている。それらの多くは子ども向けに懇切丁寧な説明がなされている。非常に便利である。しかし、そうであるがゆえに自由研究の内容を限定してしまうというデメリットがある。「懇切丁寧」がかえってよくないのだ。
そこで2冊の本を紹介したい。自由研究のために執筆された本ではない。自由研究のマニュアルではない。そこがいい。子どもに創意工夫する余地を残している。完成した自由研究の出来不出来はともかく、子どもなりにこの本を参考にすれば、オリジナリティーあふれる内容をリポートできるはずだ。