夏といえば、「熱中症」があまりに有名。暑いときに外にいる人だけではなく、家の中にいても起きるケースがあるので、十分な注意が必要である。
その熱中症はどのような病気か、と聞くと、なかなか的確に言える人はいない。熱中症とは体内が水分不足の状態になり、汗を出して体温調節ができず、体がどんどん熱くなって「吐き気」や「めまい」「意識混濁」などの症状を起こし、最悪の場合は死に結びつく急性疾患である。
症状によってI度からIII度に分けられている。
I度――(軽症)立ちくらみ、体に力が入らない、こむら返りが起きたりする。
II度――(中等症)顔面蒼白、めまい、吐き気、疲労感など。
III度――(重症)立てない、意識障害(意識混濁など)。体温が40度以上にもなる。
II、III度の状態になると、周囲の人はすぐに応急手当てをするとともに、救急車を呼ばなければならない。
応急手当ては、まず熱中症の人を木陰や室内など、涼しい場所に移す。首や体を締め付けるようなボタンやベルトをはずし、体を冷やすようにする。
体を冷やすときは、動脈が体の表面近くを通っているところを冷水や氷で冷やすようにするのが最も効果的。自動販売機が近くにあれば、冷えたカンやペットボトルで冷やすのもいい方法である。
動脈が体の表面近くを通っているのは、左右の首筋、左右の脇の下、左右の脚の付け根の6カ所である。
それとともに、物が飲めるようなら、スポーツドリンクを、ないときは塩を舐めさせて水を飲ませる。
このようなことにならないためには、夏は無理をしない、水分を十分に摂取することを心がける必要がある。
夏にもスポーツをする人々は、次の点をしっかりと守るようにしてもらいたい。
(1)28度以上の日は、外でのスポーツは「警戒」。十分に水分補給をし、休憩タイムもとって行う。
(2)31度以上の日は「厳重警戒」。基本的に持久走のようなスポーツは禁止。他のスポーツも指導者の十分な注意のもとで行う。
(3)外の気温が35度以上になった場合は、スポーツは原則禁止。
スポーツのみならず、30度を超える夏の暑い日の外出は午前中や夕方にする。外出せざるをえないときは、風通しのよい服、日傘、帽子は忘れずに。そして、スポーツドリンクを携帯しよう。
食生活のワンポイント
室内でも高齢者は熱中症で倒れるので、エアコンを上手に利用し、高温多湿な場所は避けるようにするのが大事。そのうえで、体力を維持するために、次の4点をしっかり実行しよう。
(1)1日2リットルの水分を摂取しよう!
夏は汗でどんどん水分を失っている。のどの渇きを感じなくとも、水分を摂取すべきで、1日2リットル。
食事などでも水分は摂取できているが、この場合は食事とは別である。ただし、腎臓病の人は医師と相談を――。
(2)どこへ行くにもペットボトルは必ず携帯しよう!
夏は必ず水分を携帯するのが基本。スポーツドリンクでなくても、お茶でもミネラルウオーターでもかまわない。
(3)食欲をアップさせる食事にしよう!
暑い夏に食欲不振では、より熱中症になりやすい。しっかり食欲を維持するために、南の地域の料理を取り入れる。
カレー味、トウガラシなどを使ってパンチを利かせたエスニックな食事を心がけるようにする。また、酢の物も元気サイクルに導いてくれる。
(4)酒は飲みすぎない!
アルコールは利尿作用があるので、逆により水分を失ってしまう。また、2日酔いなどしようものなら、夏の暑さに対応できない。