敬語の使い方でよくある間違いは、職場の上司に対する尊敬語をそのまま社外で使ってしまうケースでしょう。社内では「社長がそうおっしゃっていました」が正しくても、社外では「社長がそう申しておりました」というように身内に対する謙譲表現に変えなければなりません。このような混乱は中級者レベルでもしばしば見受けられます。

昭和女子大学学長 坂東眞理子

昭和女子大学学長 坂東眞理子

敬語は訓練によって身につけていくしか方法がありません。職場には敬語に詳しい人がいるものです。その人の言葉遣いを真似てみたり、書いたものをチェックしてもらうなど、「人みな、わが師」の気持ちで教えを請うことはとても大切だと思います。

若い人の文章に「うれしいです」「おいしかったです」という表現を目にすることがありますが、本来ならこれは「うれしゅうございます」「おいしゅうございました」とすべき丁寧語です。ただ、借りてきた言葉のように文章の中で浮いてしまい、逆に違和感が出てしまうのであれば、先ほどの具体的に事実を述べていく手法が役立ちます。例えば「おいしゅうございました」を「本場のものだけあって風味もひとしおでした」と言い換えるのです。

(構成=榑松ひとみ イメージ写真撮影=市来朋久)