そして、残る3つが「頼まれたことには必ず返事をする」「約束したことは必ず実行する」「(相手に)二度と同じことを言わせない」である。これらは上田さんがビジネスマンとして守ってきた「三原則」なのだという。いずれも相手の要求に対して、はっきりとリアクションをするということ。そうした行動の積み重ねが、相手との信頼関係につながっていくわけだ。
また、再就職の大きな武器になるのが長年築き上げてきた人脈。いざというとき、頼れる相談相手があちこちにいる人なら、中小企業にも重宝がられるし、彼らもそれを大いに期待している。ところが、古川さんによれば元大企業勤務のシニアの場合、人脈が社内や同世代に偏っていることが意外に多いそうなのだ。そこで古川さんは、現役時代から自分の「人脈マップ」をつくってみることを勧めている。
「縦軸を年代、横軸を経営者・同僚・取引先・趣味の仲間といったカテゴリーに分けて、それぞれに思い浮かぶ友人・知人の名前を列記してみましょう。もし大きな空白部分があるようなら、その部分の人脈を再構築できるか検討してみてはいかがでしょうか。たとえば、年下の人脈が少ないなら、部下との関係性を見直してみたり、学生時代のクラブのOB会などで若い世代と交流したりするのも手かもしれません」
中小企業への再就職活動では、公的機関を活用するのもお勧め。図は古川さんが一部講師を務める東京都の東京しごとセンターの「シニア中小企業サポート人材プログラム」で、自己意識改革やキャリアの棚卸しに役立つセミナーが目白押し。しかも無料で受講できるので、そうした貴重な学習の場を活用しない手はないだろう。
「一連の学習のなかで中小企業の経営者の『志』に関心を持てるようになると、再就職がうまくいく可能性が高まります」と古川さんは助言する。他の道府県でも同趣旨の支援が行われているので、関心のある人は地元の自治体に問い合わせてみよう
1998年、東京ガスの理事で定年退職。2000年に高齢社を設立。高齢者に職場と生きがいを提供。
さいたまキャリア教育センター代表理事。2006年に独立。シニアの再就職を支援。
クリアマイン代表取締役。2001年独立。講演で活躍。著書に『先輩が部下になったら』。