業績低迷にあえぐフジテレビ。6月28日に就任した新社長・宮内正喜氏は73歳だったが、実は制作現場では若手の抜擢が相次いでいる。同社が注力するオンラインメディア「ホウドウキョク」の運営責任者・清水俊宏氏は37歳。そんな清水氏は「チラシ配り」に力を入れる。その狙いとは――。

2000枚が1時間でなくなった

6月某日、午前8時。東京・汐留の電通本社で「フジテレビ社員が入り口付近でチラシを配っている」と一部で話題になった。そのフジテレビ社員というのが、私だ。フジテレビが手掛けているオンラインメディア「ホウドウキョク」の運営責任者を務めている。アプリのリリースを告知するため、チームのメンバーと共に朝から電通本社にお邪魔した。

チラシなどを街頭で配るのは学生時代のアルバイトでも経験があるが、その時との大きな違いは「受け取ってくれる率の高さ」だ。チラシにはポケットティッシュやキャンディーといったオマケがついているわけでもない。だが、次々と通行人の手に渡り、事前に用意した2000枚は1時間ほどでなくなってしまった。

配布したホウドウキョクのチラシ

受け取る人が多かった理由として、主に2つが考えられる。1つは電通本社の前という場所柄、情報収集に対する意欲のある通行人が多かったこと。そして、「ホウドウキョクという名前を最近よく見かけるので気になっていた」という人が多かったことだ。

最近はホウドウキョクの説明をしようとすると「スマートニュースのトップ画面でよく見かけますよね」「フェイスブックで自分のタイムラインにホウドウキョクの動画がかなり流れてきます」と声をかけていただくことがかなり増えた。

今回のチラシ配布でも、「SuicaとICOCAの違いを記事にしていたサイトだよね?」とホウドウキョクの人気記事を知っている人もいた。

ホウドウキョクをよく見かける――。これこそホウドウキョクが推し進める"分散メディア戦略"の成果だ。