2014年から改革をスタート

 「新商品はほとんどが期間限定商品のため、『スイーツメニューを増やしている』という感覚はあまりありません」

コメダ珈琲店を運営する株式会社コメダの清水大樹氏(広報グループ課長)はこう前置きしながら、次のように話す。

 「もともとコメダは定番商品を大切にしてきました。でも1968年に創業してから、まもなく50周年を迎え、時代とともに消費者の嗜好も変わっています。そこで伝統を大切にしながら、近年は時代を見据えた新たな提案を『期間限定商品』という形でも行っているのです」

こうした活動を始めたのは2014年からだ。社内に「デザート改革プロジェクト」を立ち上げ、参加メンバーにFC(フランチャイズチェーン)店オーナーにも入ってもらい、季節のスイーツなど新たな商品を検討し始めた。

「コメダの流儀」を変えた理由

実は、コメダの総店舗数のうち約98%がFC店だ。長年にわたり、「コメダブランド」を支えてきたFC店の意向を無視して新商品を投入することはできない。

約98%がFC店というコメダ珈琲店の店舗(撮影=本田匡)

当初は「変わらずに、いつも同じ味の商品を提供し続けるのがコメダのやり方だ」「季節限定の商品はコメダにはなじまない」という反対意見も多かった。

 その流れが変わったのは「時代性」だった。日本の消費者の「舌」はどんどん肥えており、個別の店からインターネットでのお取り寄せまで、スイーツの種類も味も多様化した。昔ながらの定番商品だけでは新鮮味がないどころか、一歩間違えれば「古臭い」と思われてしまう。コメダが限定品中心とはいえ、新スイーツの続々投入に舵を切ったのは、こんな裏事情があった。

「春・初夏のケーキ、小豆小町のアイスドリンクといった商品に続き、今後、ジェリコやかき氷と続きますが、いまとなっては季節の風物詩になりつつあります。コメダらしい定番メニューに加え、『この季節ならではの楽しみ』を加えることで、お客さまに喜んでもらえればと思っています」(清水氏)