教材が豊富で、英語学習に適した環境にいながら、日本のビジネスマンはなぜ初級のカベを突破できないのか。急に語学がわかり始める「臨界点」に達する鍵はリーディングにあった。今度こそ英語をモノにしたいという人は必見!

<型>中学レベルの英文が反射的に出るまでやる

<strong>プラップジャパン社長 杉田 敏</strong>●「朝日イブニングニュース」「シンシナチ・ポスト」記者、日本GE副社長などを経て現職。1987年から20年以上NHKラジオ「ビジネス英会話」などの講師を務める。
プラップジャパン社長 杉田 敏 「朝日イブニングニュース」「シンシナチ・ポスト」記者、日本GE副社長などを経て現職。1987年から20年以上NHKラジオ「ビジネス英会話」などの講師を務める。

「英語学習もビジネスと同じ。まずはプランが必要です。無計画に勉強し、『伸びない』と言っている人が多いのでは」

20年以上NHKラジオでビジネス英語の講師を務めている杉田敏氏は語る。杉田氏が勧めるのは『The Business Plan for the Body』。体のためのビジネスプランというダイエットの本だ。「ダイエットに失敗する人は『なんとなく痩せたい』というだけで、きちんとした計画がない。英語学習も同じで、大切なのは目的と計画を持つことです」(杉田氏)。

洋書はハードルが高いという人には、TOEIC990点、「カリスマ英語講師」と呼ばれる安河内哲也氏のアドバイスが参考になる。「まず勉強法の本を一冊読んでください。英語で苦労した人が、どう学んだのかを知りましょう」。

安河内氏が勧めるのは、『レバレッジ英語勉強法』だ。「日本人がなかなか英語を話せるようにならないのは、完璧を目指しすぎるからです。ネーティブのように話したいという思いがあるようですが、世界の英語人口で英語を母国語とする人はごく一部。この本にもあるように、まずは『ネーティブのように話さなくては』という思い込み=『メンタルブロック』を外すことです。日本人丸出しの発音で、多少間違っても大きな声で堂々としゃべればいい。世界を飛び回る商社マンの英語も、『とにかく通じればいい』という戦い(ビジネス)で鍛えられた『バトルイングリッシュ』が多いですよ」。

米国ハーバード・ビジネススクールでMBAを取得、TOEICで過去2回も全国の最高得点を獲得した経験のある、伊藤忠商事調査情報部長の三輪裕範氏も、「私の会社で、教養のある英語を話せる人は、ほとんどいませんね」と笑う。

三輪氏は、仕事で英語を使う必要がなくても英語を学ぶべきだと言う。「グローバル化は加速します。今は関係なくても、今後、まったく海外と接触することなく仕事を続けられるということはありえません。英語ができれば、キャリア上も新たな展開ができるし、向上心があるという姿勢をアピールできる」からだ。