「PRIDE指標」をご存じだろうか。2016年、任意団体「work with Pride」が日本で初めて策定したもので、企業のLGBTなどの性的マイノリティ(以下、「LGBT」という)に関する取り組みの評価指標である。
指標は、1. Policy (行動宣言)、2. Representation (当事者コミュニティ)、3. Inspiration (啓発活動)、4. Development (人事制度・プログラム)、5. Engagement (社会貢献・渉外活動)の5つにわかれていて、それらの頭文字が「PRIDE」となる。2015年4月~9月にかけて82社から応募があり、取り組みに応じて「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の3段階で評価を行った。第1回に「ゴールド」として認定されたのは53社だった。
53社のなかには、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーといった外資系金融企業のほか、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)などの航空会社、NTTドコモやKDDIといった通信会社など、各業界の大手企業が入っている。このうち、九州に本社を置く企業として唯一認定を受けたのが、福岡の「ペンシル」というウェブコンサルティング会社だ。
ペンシルの設立は1995年。昨年度の売上高は23億9788万円で、社員数は140人。平均年齢は36歳のフレッシュな企業だ。各業界の大手企業にならんで「ゴールド」に認定されるだけあって、この会社の働き方に対する考え方は実にユニーク。創業者の覚田義明氏のあとを継いで、現在2代目の社長を務めている倉橋美佳さんに話を聞いた。
「基本的に営業しない」という営業手法
資料請求をいただく場合もありますが、自分たちから「いかがですか」という営業は基本的にしていません。クライアントからの紹介か、人づてのものがほとんどです。困っているときって誰かに相談しますよね。そのときに「どこにお願いしているの?」みたいな話から「ペンシル」に繋いでいただくことは多いです。クライアントのみなさんに支えられているのはすごく感じます。ありがたいですね。
弊社にはウェブサイトにおけるユーザーの入り口から申し込みエントリーをするまでの流れを体系的に管理する「成功シート」というのがあります(毎年バージョンアップされ、現在はバージョン9.0で10.0を作成中)。
この「成功シート」の576の項目をクライアントと一緒に「今年はここができなかった、来年はやろう」とチェックをします。人間ドックのように細かく悪い箇所や手薄な箇所を明らかにして取り組んでいることが成果に繋がっていると思います。ゴールはクライアントの売り上げが上がることですから、効率よく売り上げをアップする方法をいかに体系的に編み出していくかがクライアントのためでもあるし、自分たちのためでもあるのです。