24ドルを約400年、年利7%で運用すると、一体いくらになるかわかるだろうか。この答えが直観的にわかる人は、富裕層と同じ思考パターンをもっているといえる。ポイントは「複利の奇跡」だ――。

24ドルを年利7%の複利で運用したら

1626年に現在のマンハッタン島を当時の入植者であったオランダ人がたったの24ドル(相当の物品)でインディアンから譲り受けた、という逸話がある。オランダ人がとても賢かったという伝説的なストーリーともなっているようだ。貨幣の価値などあってなかったような時代だろうから、その判断の当否をここで言及するつもりはない。また机上の空論にもなってしまうが、「もしその24ドルを年利7%で今まで複利で運用していたら」と考えてみたい。

さあ、いくらくらいになるのだろう?

答えはなんと3京億ドル近くになる。日本円に換算すれば300京円、つまり1億円の300億万倍、計算すれば日本人一人ひとりに300億円弱配分できる計算になる。もちろんこれは空論の域を出ない。それでもかつて日本でも身近に「年利(複利)7%」という金融商品があったことを知っていれば、宇宙戦艦ヤマトのイスカンダル星雲ほどの空論ではないこともご理解いただけるだろう。

日本にはかつて年利7%の金融商品があったのだ。それは「郵便貯金」だ。私が幼少時代に母が嬉しそうに通帳を覗きこんでいたのをはっきり記憶している。

「郵便局の定期がね、10年満期になったのよ。300万円が600万円になるのよね。あと10年預けるわ」

これは、たった40年ほど前の日本に、当然のように存在した金融商品なのだ。「そんな時代もあったね」と思わず鼻歌が出てくる筆者世代の読者も多いのではないだろうか。もちろん時は高度成長の真っただ中で、利息以上の利払いをして資金調達していた企業が、当然ながら利払い以上の利益を調達額から捻出できた時代とも言え、筆者のみならず隔世の感を禁じ得ない読者も多いことだろう。