自公の円熟した協力関係は優秀な作品

【塩田】二階幹事長は自民党の親中派といわれていますが、安倍内閣の対中外交、自民党としての中国との関係は、どうあるべきだと考えていますか。

【二階】外交はすべからく全方位外交でなければ。安倍政権は非常に目配りが利いた外交政策を展開していると評価しています。中国はあれだけの歴史があり、広い国ですから、間断なく連携を密にしていくべきです。中国だからと特に構えて交流をやるのではなく、自然体で話し合いができる状況にきています。私は若い頃から中国に関心を持っていて、多数の交流団を率いて何度も訪問し、中国との間で人脈もできて、いろいろな話をフランクに話し合える関係になりました。お陰様で意見交換する相手には事欠かないという関係です。ですが、私は親中派でも親米派でもありません。純粋に日本派です(笑)。

【塩田】安倍内閣は高支持率を維持してきましたが、今年に入って森友学園の疑惑が問題になり、国会での籠池泰典理事長の証人喚問などで、政権が揺らぎ始めた感もあります。

【二階】詳細にわたってわれわれに報告が届いているわけではありません。新聞やテレビの報道で見る程度で、論評を下すのは早いかと思いますが、早晩、解決するだろうと思っています。国会審議への影響は、それほど心配することはないのでは。それから、この問題は安倍首相自身にはまったく関係ないでしょう。

【塩田】安倍政権では「首相官邸主導」が目立っています。現政権での政府と自民党の関係について、幹事長としてどう受け止めていますか。

【二階】官房長官とも、人事などでも必要な話し合いをしょっちゅうやっています。党と政府の関係で不都合なことはまったくありません。今、官邸との関係は一番いい形で流れているのではないか。力こぶを入れて「党対政府」と言うのはどうかと思います。首相官邸といっても、自民党で成り立っていて、官邸だけが突き抜けて存在しているわけではありません。「政高党低」とか「党高政低」というけど、そんなことはあり得ない。党と政府が協力し合うことに全力を傾けるのが大事です。

【塩田】安倍内閣は自公連立政権です。公明党との関係に変化はありませんか。

【二階】極めて順調と思います。最近、いろいろな声が聞こえてきますが、そんな簡単に壊れるものではない。自公が一緒に一つの政権を支えていくのは容易ではありませんが、連帯してバックアップしていく努力が必要です。

【塩田】昨夏の参院選の結果、自民党は衆参でも単独過半数を確保しました。

【二階】仮に自民党単独でやったらどうなるか。重要法案の円満な成立も、自公ともわがままを言わず、協力し合っているからでしょう。自民党には遠慮というものがなければ。

【塩田】昨年の臨時国会の終盤で、IR(統合型リゾート施設)整備推進法案の議決の際、公明党は自主投票を決め、山口那津男代表は参議院での採決で反対票を投じました。

【二階】一軒の家に住む夫婦でも、たまに意見が違うことがある。それが健全な家庭ですよ。だけど、協調し、配慮することが大事です。連立を組んでどれだけ重要な法案を通してきたか。いろいろな訓練の成果です。各選挙区で選挙の際に互いに作用し合っていることも否めない事実でしょう。だが、それだけでもない。これが円熟した自民党と公明党との協力関係で、近代政治での優秀な作品です。長く歴史に刻まれると思いますよ。