「関西人はお笑いが好き」「東北人は無口」──。こうした日常何気なく口にしている思い込みや固定観念は「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」と呼ばれる。物事を大枠で捉えた場合はあてはまることもあるが、個別のケースで見ていくと現実と異なる場合も多い。
職場にアンコンシャス・バイアスがあると、仕事の生産性に悪影響が出ることがわかっている。一例として「女性は控えめであるべき」というバイアスが職場に強くあると、女性社員は「意見を言わないほうが無難だ」と消極的になる。その結果、女性社員が活躍しづらくなり、会社の生産性は下がってしまう。
「職場のアンコンシャス・バイアスを減らし、多様性を1%進めれば、業績が9%上がるという調査結果がある」とクオリアの荒金雅子社長は指摘する。こうした理由もあり、先進的な企業は対策を始めている。米グーグルは創業から2013年までの間、自社検索エンジンのロゴ「グーグル・ドゥードゥル(Google Doodle)」に掲載された人物の大半が白人男性だったことを民間の調査機関から指摘された。これをきっかけに、社内のアンコンシャス・バイアスをなくすことを目的とするダイバーシティ研修を開始した。「現在、グローバル企業を中心に同様の研修が活発に導入されている」(荒金社長)。
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