アマゾン・キンドルが日本から撤退する日
コンテンツを端末に一度落とせば繰り返し楽しめるのだから、サービスが止まっても問題ないと考えている人もいるだろう。しかし、端末の記憶媒体はいずれ劣化する。保存性では紙のほうが優れているくらいだ。
では、電子書籍や音楽や動画の配信サービスが終了する可能性はどれくらいあるのか。利用者が伸びずに撤退したサービスは少なくないが、「パンドラの箱が開くのはこれから。今後は大手の撤退もありえる」と桑野弁護士は予想する。
「ウィンドウズ10が出たとき、サポートを終了したアプリケーションが相次ぎました。新OSに対応するにはコストがかかるからです。電子書籍や各種配信サービスも、OSが切り替わったり、デバイスが次世代のものに移行したタイミングで事業者が撤退するおそれがある。アマゾンが日本市場からキンドルを撤退させるといきなり発表しても私は驚きません」
仮に撤退はしなくても、新しい端末やOSを買わなければ読めなくなる可能性は十分にある。普段は電子書籍で気軽に楽しみつつ、永久保存したいものは本で買うのが賢い利用法かもしれない。
(図版作成=大橋昭一 写真=Robert Herhold)