社外の行為も懲戒処分の対象に

「パワハラ」や「残業」など、社員と会社の利害が対立するニュースが多い昨今、新入社員は自分の鎧となる法律やルールを自分で学んでおいたほうがいい。

まず押さえたいのは労働基準法と労働契約法。労務問題に詳しい浅見隆行弁護士は次のようにアドバイスする。

「いま議論が行われていますが、残業時間の上限を知っておくことはマスト。ほかに、有給休暇の取得に理由は要らないことなども知っておいたほうがいい」

会社との関係でいえば、懲戒処分の対象になる行為も押さえておきたい。

懲戒処分の内容は戒告から懲戒解雇までさまざまだが、会社は社員が何をしたときにどのような処分を科すのか、あらかじめ就業規則に記載しておかなくてはいけない。逆にいうと、就業規則に定めがないのに処分されたら不当な処分として争える。あらかじめ目を通して、自社で何がアウトなのかを理解しておこう。

もっとも、就業規則に具体的に書かれていなくても処分されるケースはある。たとえば犯罪行為をした場合だ。

「多くの企業は、就業規則で社員に服務規律を守ることを求めています。犯罪行為をすると、服務規律に違反したと見なされて、処分の対象になるおそれがあります。一般的に、プライベートでのスピード違反や交通事故は処分の対象外。交通事故でも飲酒をしていたり、酔って喧嘩をしたケースあたりから処分の対象になってきます」

痴漢と間違われて冤罪で逮捕されたらどうか。

「逮捕だけで社員を処分すると、あとで不当な処分だと訴えられるおそれがあります。会社としては、当面は総務部預かりなどにして人目のつかない部署に異動させ、起訴されるかどうかを見守るという対応が一般的。退職勧奨してくるケースもありますが、身に覚えがないなら応じる必要はありません」