大事な情報は社内でも話させない

新年度。右も左もわからない新入社員にぜひ行ってほしいのが、コンプライアンス教育だ。社員が法律に違反すれば、会社もダメージを負いかねない。そこで今回は、新入社員に知っておいてもらいたい法律をいくつか紹介しよう。

まず徹底させたいのは情報管理だ。この時季、学生時代の友人と集まって情報交換する新入社員は多い。しかし、話す内容によっては法律違反になる。

たとえば社内で開発中の商品について友人に話すのは危険。営業秘密の「不正開示」で不正競争防止法違反のおそれがある。コンプライアンスに詳しい浅見隆行弁護士は、こう解説する。

「IDやパスワードを入力しないと閲覧できない情報や、紙で配っても後で回収する情報は、営業秘密に当たる可能性が高い。一方、初任給の額や社員食堂がどうだという情報は営業秘密ではありません。会社はその違いを教えるべき」

営業秘密に該当しなくても、業務上知った情報を人に話すのは厳禁。たとえば「いま自分が関わっているM&Aの案件は~」と自慢すれば、相手がその情報をもとに株取引する可能性がある。そうなればインサイダー取引推奨やインサイダー情報伝達で金融商品取引法違反のおそれありだ。

消費者向け事業をやっているなら、個人情報保護法についても教育したい。今年5月に改正法が施行され、これまで適用外だった小規模取扱事業者(取り扱う個人情報の数が5000件以下の事業者)にも規制が及ぶことになった。これまで対策をしてこなかった企業は、注意が必要だ。

外部に漏らしてはいけない情報は、家族に話すのもアウト。さらに社内での会話についても注意喚起しよう。

「同じ社内でも、部署や担当が違えば情報漏えいになりえます。エレベーターで仕事の話をするのはダメ。マナーではなく、情報管理として会話禁止を徹底させてください」