日本企業で英語研修の打ち切りが続出している。「英語ができても海外ビジネスはうまくいかない」、そんな壁を越えるために必要な技術とは?

英語教育万全の日本人社員が海外でぶつかる壁とは?

日本企業にとって海外展開の必要性がますます高まっています。2012年までの円高の流れを受けて大手企業は各地に拠点を設け、グローバル展開を進めてきました。

ところが最近、英語学習の費用対効果を疑って社員への研修を打ち切る日本企業が増加しているのです。英語をうまく使いこなせば海外展開もうまくいくと信じてきたけれども、グローバルコミュニケーションはそれほど簡単な問題ではないことに気付いたのかもしれません。一体何が起こっているのでしょうか?

2014年10月1日現在の海外在留邦人の総数は、129万175人。統計開始後最多となった。職業別では、「民間企業関係者」が長期滞在者の約54%(45万9112人)と最も多く、グローバルに活躍する日本人ビジネスマンの数は、今後ますます増えると思われるが……。

多くの企業が海外に出向・転籍する社員に対してビジネス英語研修を行ってきました。ところが、研修を受け万全の体制で出発したはずの社員たちが、現地でのコミュニケーションでかなり苦戦してしまっていると聞きます。そして、意外にもそのケースの多くが、顧客との交渉など「社外」に対する英語ではなく、同僚など「社内」での英語によるコミュニケーションの問題、つまり身内でのトラブルだったというのです。

英語は日本で習得してきたはずです。それなのに、うまくコミュニケーションがとれず、現地のスタッフから信頼されなくなってしまう。挙句の果てには仕事を放棄されたり、下手をすると訴訟沙汰にまでなってしまったりするケースもあるそうです。これでは英語研修の意味がありません。

ここは一度「英語能力が万能である」という考え方を見直し、今後のグローバルビジネスを進めるにあたり、何に注意するべきなのかを深く掘り下げる必要があると思います。