大災害について広い視野で考えるべき

――菅首相を批判すると、与党内で干されると警戒されませんでしたか?

そのような思いは、ありません。私は批判したのではなく、指摘をしただけですから。また、首相や民主党のために議員をしていたわけではないのです。有権者から支持をされて議員となっている以上、有権者のことを思い、動くのは当然です。被災地の現場を直視しようとしない議員こそが、問題です。

菅政権の後、野田政権となりました。その頃から、民主党や自民党という党派や与野党を超えて、多くの議員が一緒に取り組むことが少しずつできるようになったと思います。大震災の復旧・復興に与党も野党もないですから。パフォーマンスをするのではなく、まず、与党が実務をしっかりとしたからなのです。私たちは、国家を守る責任があるのですから。

私は、もともとは陸前高田市の市役所に勤務していました。心は、いつも「陸前高田市の係長」です。行政や政治にはやはり、実務こそが大切なのです。おかしなパフォーマンスをすると、混乱するだけです。

――震災発生直後、麻生太郎元首相から手紙が送られてきたようですね。

その内容をお話することはできませんが、私が家族や秘書を亡くしたことを気にかけておられるようでした。あのとき、こういう手紙を送ってこられたのは国会議員ではひとりです。

あの震災の3カ月前、2010年12月31日、私は麻生さんたちと一緒にブラジルに行ったのです。11年1月1日のブラジル大統領就任式に、麻生さんが政府特使として派遣されたのです。首相もしくは首相級が行くことが外交儀礼であるからです。

そこで、総理の経験がある麻生さんが選ばれました。私は、総務委員会で筆頭理事をしていたこともあり、同行することになりました。そのときに、麻生さんと話す機会があったのです。

――現政権が進めてきた復興支援策は、民主党が与党であった頃のものと比べてどのように思われますか。

基本的な復興の制度設計は変わっていませんので、自民党・公明党の政権が進めてきた復興支援策と、民主党が政権を担っていた頃の復興支援策を比べて、どちらが優れているかなどと判断することはできないと思います。あえて言えば、現在の政権は「被災地の自立」をより強く前面には出すようになってきたのではないか、と思います。

復興支援で最近あらためて思うのは、ほかの地域で、東北の震災と同じような大きな震災があったときのことです。仮に南海トラフ地震が発生し、東日本大震災を上回る数の犠牲者が出たとします。

この復興をするために、東北の復興支援策をそのまま使うことは難しいのではないか、と考えています。少なくとも今のうちから、大きな震災についてもっと広い視野から考えておく必要があるのだと思います。