トランプ政権は「現実の悪夢」なのか

選挙期間中から、「アメリカ第一主義」を繰り返し、就任後もTPP離脱やオバマケア見直しの大統領令を連発。また、中東・アフリカ7カ国の国民の入国一時禁止で司法と争うなど、トランプ大統領が独裁的な指導者の風貌をのぞかせていることも、背景にありそうだ。おそらく、そこに『1984年』が脚光を浴びている理由がある。

もちろん、トランプ大統領が、この本を愛読書にしているかどうかはわからない。むしろ、大統領のイメージからすれば、マキャベリの『君主論』やヒトラーの『わが闘争』のほうが似合いそうだ。とはいえ、不動産王といわれ、一代で巨万の富を築いた百戦錬磨のビジネスマンである。ある意味では、並の政治家以上に権力の本質、その使い方は心得ていて不思議はない。

大和総研執行役員チーフエコノミストの熊谷亮丸氏が<彼を見ていると、一昔前、アントニオ猪木やジャイアント馬場と死闘を繰り広げた、スタン・ハンセンという人気プロレスラーがいたことを思い出す。ウエスタン・ラリアットを得意技とした彼のニックネームは「ブレーキの壊れたダンプカー」。これこそ、トランプにぴったりのニックネームではないだろうか>(『トランプ政権で日本経済はこうなる』)と書いている。

昨年11月の大統領選でトランプ氏の当選が確実になって以来、全米の主要都市で大規模な抗議デモが繰り返されている。万が一、トランプ大統領がブレーキの利かないダンプカーのように暴走したら、アメリカのみならず世界を混乱させるはずだ。それはまさに、小説で描かれるのとは違って、現実の悪夢になりかねない。