トランプ報道の影に隠れた「重要案件」をスルーするな
新聞やテレビを見ていると連日トランプ大統領のニュースが大きく取り上げられています。私が月に数度出ている大阪の情報番組でもトランプ関連のニュースが取り上げられない日はないくらいです。
「貿易」から「移民」にいたるまで、これまでの政権ではなかったような“過激な”大統領令を、次々と発表しているからです。それに対し、わが国の政府も振り回されている感があり、さらにそれをマスコミが大きく取り上げているという構図です。
しかし、もちろんのことながら、トランプ政権の動きだけがわが国にとって重要な問題でないことは明らかです。にもかかわらず、他のニュースがあまり注目されていないことが大きな問題だと私は思っています。
【トランプ報道の影に隠れた問題1】社会保障費と財政赤字の増大
この国では少子化、高齢化が急速に進展していることはみなさんご存知のことだと思います。昨年生まれた子供の数はとうとう100万人を切ってしまいました。
わが国の医療や年金の社会保障制度は、「世代間扶助」という名の下で、現役世代が高齢者世代を支える構図となっています。しかし、現在、社会保障を支える生産年齢人口が大きく減少しつつあり、本来、医療や年金の特別会計でまかなうべき社会保障が、今でも一般会計からそれぞれ毎年10兆円ずつ補てんされています。つまり、税金や財政赤字で社会保障が賄われているのです。
生産年齢人口がさらに減少することは明らかで、そのことが社会保障費などの増大を通じて、財政赤字の残高を増加させるという悪循環となっています。対名目GDP比では先進国中最悪の財政赤字の状況なのです。