ニューヨーク株式市場は年明け早々値上がりし、新大統領ドナルド・トランプ氏への期待が高まっている。トランプ氏の経済政策を「トランポノミクス」と呼ぶが、その基本方針はアメリカの利益を最優先する「アメリカ第一主義」。自国経済の立て直しと雇用の確保を最優先し、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)離脱を表明。NAFTA(北米自由貿易協定)も見直しが予想される。
発足したトランプ政権が最初に掲げるのは何か。早稲田大学政治経済学術院の若田部昌澄教授は「長期停滞からの脱却を目指す政策」と指摘する。緊縮財政を否定して積極財政に転換し、インフラ整備による公共支出と減税による財政政策を当面行うという。これでアメリカでドル高と金利高が起きれば、日本では円安と金利上昇圧力がかかるため、アベノミクスにとっても追い風となる。
若田部教授によると、トランポノミクスの注目ポイントは3つ。1つ目は議会で打ち出される財政政策の中身。減税の規模と内容次第ではかなりの好況となる。2つ目は様々な圧力をかける対外政策。中国だけでなく日本も例外ではない。3つ目は金融政策。アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ時期が早まる予想と、来年2月で任期が切れるFRB議長の後任人事でトランプ氏の意向が反映されることだ。
(AFLO=写真)