「健康」より「感覚的・心理的」被害

これは「公害」というレベルよりも、通常の生活の中で、収集場に決められたルールでごみを出していない、あるいは収集場以外のところにごみを捨てているといった苦情レベルに近いものが多数を占めている。こうした一般家庭から出るごみでも、きちんとルールに従った廃棄がなされていない以上は “公害”ということになる。

非常に面白いことに、公害苦情受付件数全体での発生原因の1位は、意外にも「焼却(野焼き)」が1万3397件(公害苦情受付件数の 18.5%)となっている。野焼きとは、一般的に野山の枯れ草を焼く事が多く、農業行為の一部として行われるケースが多い。

この農業行為の一部として行われる野焼きに、これだけ多くの苦情が寄せられているのかと思いきや、もちろん野焼きも一部では苦情が出ているが、問題なのは「焼却」の方で、野原や空き地、自宅の庭など、屋外でごみなどを焼却する行為に対して、多くの苦情が寄せられ、公害となっている。

実際に多くの自治体では、公害防止条例などにより、ごみなどを基準に適合しない設備で焼却することを禁止しており、罰則規定などもあるため、気を付けて欲しい。

では、公害被害がどこで発生しているのかと言えば、「住居地域」が3万41件(公害苦情受付件数の41.5%)と圧倒的に多く、その被害状況はと言えば、「感覚的・心理的」被害が5万1084件(公害苦情受付件数の70.5%)で2位の「健康」被害が5070件(同7.0%)の10倍以上となっている。

どうやら、もはや死語だと思っていた「公害」は、住宅地域で発生する精神的な被害を中心としたものに変貌、やはり「環境問題」と近似値のものとなっているようだ。かつて公害が持っていた“薄汚れて病的”なイメージこそなくなったものの、公害は公害であり、発生を防止する努力を続けていく必要がある。