出典:厚生労働省 毎月勤労統計調査をもとに編集部作成
ボヨーン
アルバイトをしたい学生が5人、
アルバイトを雇いたい店が5店あるとしよう。
バイトは、一店一人ずつとする。
時給1500円なら働きたい学生が5人、雇いたい店が3店。
時給1000円なら働きたい学生が4人、雇いたい店が4店。
時給500円なら働きたい学生が3人、雇いたい店が5店だとする。
今、アルバイトの時給が1500円だとすると、
3組のペアができて、二人の学生が「余る」ことになる。
余った学生は
「自分なら1499円で働くから、他の学生を雇わずに自分を雇って」
「いや、自分なら1498円で働きます」と競争する。
次第に時給が下がっていき、1000円になったところで、皆が満足する。
つまり、4組のペアが出来て、それぞれ取引するからだ。
バイトの時給が500円だった時も同様のことが起きて
やはり1000円になる。
赤色の曲線は、アルバイトを雇いたい店を表す「需要曲線」だ。
時給が低くなるにつれて、雇いたい店が増えていく。
青色の曲線は、働きたい学生を表す「供給曲線」だ。
時給が高くなるにつれて、働きたい学生が増えていく。
ある商品の「価格」、この場合で言えばアルバイトの時給は
「需要曲線」と「供給曲線」が
交差するところで決まるのだ!
アルバイトを雇いたい店が増えると、
「うちは他店より高い時給を払うから、
他店をやめて、うちに来て下さい」という店が増えるので、
時給が上がっていくのだ。
だが……正社員は違う!
出典:厚生労働省 H27年度賃金構造基本統計調査をもとに編集部作成
お金と時間をかけて、じっくり社員を教育できる。
もし会社の業績が苦しなったら
賃上げをガマンしてもらって乗り切ることができる。
終身雇用でなければ 会社と社員が
家族のように一致団結することなどできん。
労働力不足(供給不足)によってバイトの時給は上がっていて
うらやましい面はある。
でも オレは終身雇用と年功序列をベースとして
会社という家族に守られている。
どちらかというと オレには家族のほうが
性に合っているな。
久留米大学商学部教授。1981年、東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。経済分析、経済予測などに従事し、2005年に退職して久留米大学へ。『なんだ、そうだったのか! 経済入門』など著書多数。