ボヨヨヨーン
政府がゼネコンに発注すると、
ゼネコンから建設会社、資材メーカー、
機材メーカーなんかにお金が流れ、
たくさんの仕事が生まれ、失業者が雇われる。
つまり、公共投資とは政府が不況時に
橋や道路を無理やりにでも作ることで
失業率を下げることを意味する。
公共投資で景気回復させる方法を考えたのは
イギリスの経済学者ケインズ大先生だ。
懐があったまった元・失業者が、焼き肉を食いに行けば、
焼肉屋は忙しくなって学生バイトを雇う。
バイト代が入った学生がゲームを買う……。
焼肉屋のオヤジやゲーム会社の社員が、
懐が温かくなって、
おまえの百貨店で買い物をするかもしれない。
そうなれば、お前の給料も上がり、
牛丼じゃなく、焼肉を食いに行けるだろう。
出典:総務省統計局
しかも、建設業界は人手不足に悩んでおるほどだ。
失業者が少ないのに、公共投資をしても
あまり効果がないかもしれん。
専門家の間でも、意見がわかれておるんじゃ。
なんとか公共投資というカンフル剤を打ち続けて
景気回復につなげたい考えだ。
だが、問題はほかにもある。
あたりまえの話だが、
道路や橋を作るには巨額の費用がかかる。
不況時は税金が足らないから、政府は赤字国債を発行する。
つまり、大借金をして公共投資をするのだ。
そのとおりじゃ。
戦後の日本は公共投資で大借金をしても、
経済成長もスゴかったから
なんと税金で回収できた。
だが、巨額の借金を抱え
経済成長も停滞している今の日本で
これ以上の大借金はまずい。
それに、インフラは十分に整っていて、
公共投資に金をかけるべきかどうか、悩ましい。
だから、あまり公共投資に金をかけるべきではない、
と考える人も多いんじゃ。
東京五輪で景気が上がるのは、
公共投資するからだと思ってた。
でも、今の時代にやっても
効果があるかどうかは
やってみなきゃわからないのか。
オレたちの給料も
あがるかどうかも
正直、わからないってことだね。
せめて、じいさんがもっともっと儲けて、
オレからすんごいたくさん買ってくれたら
いいんだけどなぁ……。
久留米大学商学部教授。1981年、東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。経済分析、経済予測などに従事し、2005年に退職して久留米大学へ。『なんだ、そうだったのか! 経済入門』など著書多数。