成果を出すために時間を犠牲にしていないか

日本人は、働きすぎだと言われます。毎日の残業は当たり前で、たとえ自分の仕事が終わっても、「周りの人が働いているのに、定時で帰るとは何事だ」と非難するような雰囲気も根強く残っています。最近は、「○時以降は会社に残ってはいけない」など、残業を制限、もしくは禁止する企業が出てきており、なかには一定の成果を上げているところもあるようです。

ただ、その多くは残業が早朝出勤や帰宅後の自宅作業という形にすり替わっただけで、実質的な労働時間は、以前とあまり変わっていないケースが多いのではないでしょうか。結局のところ、一定の成果を得るために時間を犠牲にする慣習は、あまり変わっていないように思います。

しかし、このままでいいとは思えません。これから労働人口は急激に減少していき、今後はますます生産性の向上や時間当たりの価値を強く求められる時代になります。時間をかければ「なんとかなる」というやり方では限界がくるのは目に見えているのです。

『コンサルタントになれる人、なれない人』(高橋信也著・プレジデント社刊)

一定の成果を上げるために、どれだけ時間を割いたのかは評価の対象ではなくなり、あくまでも“成果”で勝負しなければならなくなります。

そこで生き残っていくには、顧客や会社のニーズに長時間労働で応えるといった意識や働き方そのものを変え、自分の実力で勝負できるようにならなければなりません。

では、実力を磨き、成長するためには何が必要でしょうか? 高い成長欲求でしょうか、優秀な指導者でしょうか。両方とも不正解ではありませんが、それだけで十分とはいえません。重要なのは、「自分は、こうありたい」「自分は、こうなりたい」という目標やビジョンです。

3年後、5年後、10年後、さらには30年後、こうなっていたい“自分像”があるから、そこへ向かって成長したいという気持ちを持ち続けられるのです。目標やビジョンがあるから、そこから逆算して今の自分に何が必要なのかを考えることができ、着実に一歩ずつ前へ進んでいけるのです。