子会社に対するさらなる監視の強化も

今まで見てきた例では、経理規定やその運用ルール、および本社監査部の監査などによる抑止力が子会社に対しては及んでいないことがうかがえる。もちろん大半の関連会社や子会社では問題のない取り扱いをしているわけだが、どうしてもチェックは甘くなるようだ。

本社では社員の陣容も比較的厚く、相互にチェックすることもできる。また人事異動によって長く一つの場所にとどまらないルールを決めている会社もある。

しかし関連会社や子会社、または中小企業になると、審査や監査に十分な人手を割けるだけの余裕はないことが多い。配置転換も難しくて1人の経理担当者が長く同じ仕事を続けることになりがちだ。そのため十分なチェックが働かないことが少なくない。

また子会社に出向になって都落ちになった気分になり、会社での将来の出世の見通しがつかなくなったことにより、本人の心の中にスキができることを指摘する経理担当者もいた。

実際に、関連会社で長く経理を担当している社員に聞いてみると、最近は公認会計士の監査でも業務の手順やフローのことを良く聞かれるようになったという。担当者の不正にポイントを置いているからだと彼は推測しているという。

やはり大変であっても、子会社や関連会社に対しても経理規定やその運用ルールを徹底して、監査体制の強化、本社による再チェック、定期・不定期の職務ローテーションの実施などの対応が求められるだろう。

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