【Analyze the IDEO】

なぜIDEOに日本の大企業からの依頼が殺到するのか。

その理由の一つとして、IDEOと一緒に仕事をすることで「仕事が楽しくなる」からだと僕は考えます。IDEOは「楽しく仕事をすることも仕事の一つ」として捉えているように感じます。

アイデアを否定せずにみんなで話し合う、問いかけを通して共通のビジョンを設定する、街に繰り出してユーザーの声を聞く……。そのどれもが、仕事を楽しくする働きかけです。

仕事が楽しくなることは、仕事の成果にもつながります。

カーネギーメロン大学の研究者の論文では「ポジティブ感情」と「ネガティブ感情」を行き来することが創造性を高めると述べています。会議で使うプレゼン資料の作成に膨大な時間を取られたり、社内の人間関係が出世に影響を及ぼしたりする日本企業では、ただでさえネガティブ感情が渦巻いている。そこにIDEOが入り込み「仕事が楽しい」というポジティブ感情が加えられることで、結果的に創造性が高まっていくのです。

石川善樹=聞き手
医学博士。予防医学研究者。1981年、広島県生まれ。東京大学医学部を経て、米国ハーバード大学公衆衛生大学院修了。キャンサースキャン、Campus for Hの共同創業者。
(河西 遼=撮影)
【関連記事】
脳科学を応用! 最新・ヒット商品のつくり方
シリコンバレー発コンサル「IDEO」に大企業がこぞって依頼するワケ
「くまモン」を生んだ売れっ子クリエーターの“アイデアを生む”仕事術
暮らしを観察し、人の“無意識”を読み取る -無印良品 冷蔵庫
ジョブズのように画期的アイデアを思いつくには