「法律つくったから派遣」は安直過ぎ
こうした世界の情勢に、「日本政府は楽観的すぎる」と批判するのは民進党の長島昭久衆院議員だ。長島氏は米国ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)で国際関係論を修めた後、外交誌「フォーリン・アフェア」を刊行する外交問題評議会でアジア政策担当として研究に従事。2003年の衆院選で初当選して以来、「外交安保政策の専門家」として活躍し、野田第3次改造内閣では防衛副大臣を務めている。
「法律を作ったから、重要な任務を自衛隊に課して南スーダンにただちに派遣するというのでは安直過ぎる。私自身、安全保障関連法については反対ではないが、法律を作った時と現在では状況が全く違っている」
長島氏は民主党政権がゴラン高原PKOから自衛隊を撤収させた事例を引用し、「政治の判断能力と責任が問われている」と主張する。
ゴラン高原には第4次中東戦争後の1974年、国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)が設置され、日本は1996年以降、自衛隊を派遣していた。しかし治安情勢を理由に、野田政権は2012年12月21日に撤収を決定した。
「我々は、現地の情報をもとに政治的に決断した。ちょうど衆院選の最中だったが、外務大臣が森本敏さんで、議員ではなかったので仕事に専念できた。また参院議員の大野元裕さんが大臣政務官として頑張ってくれた。外務省は撤収には反対したが、この時の判断はまさに正しかったといえる。というのも、自衛隊が撤収した10日後に、シリアから攻撃が加えられたからだ。まさに危機一髪だったのだ」