「証拠の残るメールは使うな。電話で対応しろ」
現在、ロッテHDは昭夫副会長の下に、佃孝之社長のほか、CFOの小林正副社長が脇を固める体制となっている。ロッテHDの27%の株式を保有する社員持ち株会の理事長は小林副社長の息のかかった人物だといわれている。
しかし昭夫氏に捜査の手が及ぶのに従って3人の関係は揺らぎ始めているのではないかといわれている。日韓のロッテグループの“金庫番”といわれている小林副社長は昭夫氏の右腕としてロッテキャピタルの社長を長年務め、2013年からロッテHDのCFOも兼務するようになったが、韓国検察の捜査が始まって以降、7月にロッテキャピタルの社長を突然辞任した。小林副社長はソウル地検ににらまれていたため、ロッテキャピタルの仕事などで韓国に戻れば出国禁止処分になる恐れがあったからだという見方もあった。
「小林氏はこれまでロッテキャピタルでは相当の報酬を得ていた。ロッテグループでは3本の指に入るレベルです。ただ今回の起訴で小林氏はなりふり構わず韓国に戻ることを避け、なんとか逃げ切った。昭夫氏とロッテHDをつなぐキーパーソンとしてさらに影響力を増す立場となる」(同関係者)
一方で佃社長は今後微妙な立場となる。
「佃社長は昭夫氏はもともと仲が良くなかった。しかし、いつお互いの利害が一致したんでしょう。3年ぐらい前から親しくふるまうようになっていたのです。今は状況をじっと見ていますが、昭夫氏の所有しているロッテHDの株は2パーセントに満たない。これを失っても過半数は維持できる。いつ反旗を翻してもおかしくない。すでに韓国で捜査が始まったころから、情報のやり取りなどでは『証拠の残るメールは使うな。電話で対応しろ』といった指示が出たり、宏之氏を追い出して、昭夫氏を担ぎ上げた際に打ち出していた『ワンロッテ、ワンリーダー』(日韓を昭夫氏が率いるという意味)のキャッチフレーズは言ってみれば禁句となっています」(同関係者)
一方で韓国の昭夫氏はメディアや検察などに対して「『もし自分が逮捕されるようなことなれば、日本人に韓国ロッテが乗っ取られる』といって、検察や裁判所をけん制していたという話もでているようです」(韓国メディア記者)