結論を決めてしまわないほうがいい理由

ビジネスシーンでは早急に正しい決断をしなければいけないときもある。日頃から深く考えるトレーニングをすれば自然と決断速度は上がるはずです。

教育心理学において、若い教師とベテラン教師では、生徒への評価の仕方が違うことがあると言われます。若い先生の場合、生徒を1学期見た時点で、「この子はこうだ」と評価を下しがちです。それに対してベテランの先生は、子どもを見て、今のところの評価を出します。そしてしばらくしたら、その評価をリニューアルする。この方法は一番モチベーションが上がり、総じて子どもの能力を伸ばしているそうです。

暫定的な結論を早々と出し、後でゆっくり考えてリニューアルしていく。そんな中庸策も使いながら、時には早く、時にはゆっくり、仕事に合わせて決断してみてください。

心理学者、臨床心理士 植木理恵
東京大学大学院教育心理学科修了。日本教育心理学会で最難関の「城戸奨励賞」「優秀論文賞」を史上最年少で連続受賞。現在、カウンセラーおよび慶應義塾大学で講師をつとめる。著書に『脳は平気で嘘をつく──「嘘」と「誤解」の心理学入門』『人を見る目がない人』など。
(構成=鈴木 工 撮影=奥谷 仁)
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