豊洲新市場への移転は極めて困難になった
そもそも、豊洲でこれまで行われてきた土壌汚染対策は、土壌を入れ替えるのではなく、豊洲に処理プラントを設置して汚染土壌を浄化し、それを埋め戻すというもの。浄化で完璧に汚染をなくすことは不可能であるとする専門家の声もあるようで、対策として十分と言えるのかどうか疑問の余地も残っている。加えて、施設整備後も、施設使用開始前から地下水管理システムを稼働させて地下水の水位と水質を管理するというのだから、それでは汚染は完全に除去できていませんということを自ら証明しているようなものである。
そう考えていくと、生鮮食料品を取り扱う施設を設置するのに適した場所、土壌環境と言えるのだろうか? と大いに疑問が湧いてくる。そしてそのような状態で都民や事業者の信頼を醸成することなど、ほぼ不可能と言っていいのではないだろうか。
ことここに至っては、豊洲新市場への移転は極めて困難になったと考えたほうがいいように思う。そうであれば、移転は白紙撤回し、現在の市場の改修や市場として機能している他の施設、例えば大田市場の拡張・移転といったことを、現実的な選択肢として考えるべきではないだろうか。