オーナーには参考記事のコピー+一筆箋で
手紙を出すのも有効です。特に変わったことを書く必要はありません。「オーナーが目指しているのはこういうことだと理解しています。そのために私たちはこういった分野で貢献できると思っています。お手伝いさせていただけないでしょうか」といった、オーナーの考えに寄り添ったものであればOKです。手書きならより気持ちを伝えられるでしょう。
手紙を書くのはハードルが高い、と感じるのならば、その会社のビジネスに役立つと思われる記事のコピーなどを持参して、一筆箋で一言添えるだけでもいい。「少しでも御社のお役に立てればと思い、僭越ながら記事のコピーをお持ちしました」と書くだけです。私も、同じ企業にこういったことを5、6回ほど続けていたら、いきなり役員クラスが面談してくれた経験が何度もあります。
ベンチャー企業では、オーナー系企業とは正反対で、現場にいる肩書のない若手社員が決定権を持っていて、その場で即決されることもよくあります。オーナー系企業はオーナーを狙い撃ちしますが、ベンチャーは現場の担当者を社長だと思って話をするくらいでいい。提案の成果について具体的な数字を交えた資料を用意すれば、その場で意思決定をしやすいでしょう。
「御社のことを調べました」はご法度
次に、商談のシチュエーションごとに考えてみましょう。最初のアポの際は、相手のことをできる限り知っておくことが大事です。たとえば、「御社のHPで拝見しましたが、新規事業にずいぶんと力を入れておられるのですね」などと言っただけで、関心を持ってもらえます。ここで注意したいのは「調べました」という言葉。そう言われると、あまりいい気分にはならないものです。「勉強させていただきました」といった言い方をするといいでしょう。
また、自社の独自性もこのタイミングで訴求したいものです。自社の特徴を事実・データや物語で裏づけると、お客さまの心に刻まれます。
お客さまと関係性ができてきたら、もう少し詳しい話を知りたくなってきます。その際の質問ですが、私はよく「そうお考えになった背景は何でしょうか」という聞き方をします。背景を聞くと、相手企業が目指すことや目的など、深い話を知ることができます。