国際家具見本市「ミラノ・サローネ」に関連したイベントに参加するため、ミラノを訪れた。会期中、メーン会場はもちろん、ミラノの街全体が、デザイン一色に染まる。通りを歩いていても、至るところで展示が行われている。
夕刻には、パーティーが行われていることも多い。デザイン展示の行われているスペースや店舗で、ワイングラスを持った人たちが立って、ゆったりと談笑している。そのような光景を見ていると、創造性を育む環境について、いろいろと考えさせられる。
ミラノはもともと、イタリアで最大の都市圏人口を持つ街であり、服飾産業など、様々な経済活動も盛んである。そのような基盤の上に毎年行われているミラノ・サローネは、ミラノという街の魅力を、さらに高めている。
最近、しばしば耳にする言葉に、「創造都市」(クリエーティブ都市)がある。その都市に国内はもちろん世界中から様々な人々が集い、デザインやテクノロジーなどの分野で、付加価値を生み出す。
創造的な人たちが集まることで、都市の求心力も増し、経済活動がさらに盛んになる。創造都市が繁栄することで、国全体としても経済発展し、文化的資源も充実する。そのような観点からの創造都市論が語られている。
ミラノが世界を代表する創造都市の一つであることは間違いない。かつては、万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチが長年にわたって居住して、様々な活動を行った。
『最後の晩餐』の壁画があるミラノ市内のサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会は、世界遺産に指定されている。
『椿姫』や『アイーダ』など、数々の傑作オペラを残した偉大なる作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディもまた、ミラノを活動の拠点とした。その作品の多くが、ミラノが誇るオペラの殿堂、スカラ座で初演されている。