ワインを蒸留して造るブランデーの中でも、コニャック地方のものは、特に上質なものとして知られる。
その「コニャック」の代表的なメーカーの1つ、レミーマルタンのご厚意で、先ほど行われたカンヌ国際映画祭のコンペ部門の参加作品を公式上映で観る機会があった。
長年にわたって、カンヌにちなんだ映画の催しをしてきたレミーマルタン。今回は、俳優のジョン・マルコヴィッチ氏が脚本を書き、主演して、制作から100年後の2115年に初めて公開される映画「100 YEARS」を紹介し、話題を呼んだ。
カンヌ国際映画祭は、観客を含めて、男性はタキシード、女性はイブニング・ドレスが「必須」。私も、慣れないタキシードを着て、レッド・カーペットの上を歩き、公式上映される会場へと入っていった。
レッド・カーペットの周りには、たくさんのカメラが構えられていて、女優や監督が入ってくると、一斉にシャッターが切られる。テレビカメラの前でインタビューをされる光景も見られて、さすがに華やかであった。
映画が上映される劇場は、グラン・テアトル・リュミエール。客席に座ると、以前からの知り合いで、審査員をつとめていらっしゃる河瀬直美監督も、他の審査員と一緒に座っているのが見える。
特別な雰囲気の中、やがて照明が落ち、上映が始まった。高校を卒業する女の子とボーイフレンド、その母親、父親、そして父親の恋人の微妙な関係を描いたルーマニアの作品。上映が終わると、盛んな拍手が起こった。
劇場を出て散策していると、河瀬監督が偶然いらした。しばらく立ち話をした。
カンヌの観客は、映画鑑賞についての目が肥えていて、また率直であり、上映終了後の反応は、作品の出来不出来によって全く違うのだという。